電源エキスパートが語る!真空装置メーカー製電源と専業メーカー製電源の違い|ULVAC SHOWCASE
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電源エキスパートが語る!
真空装置メーカー製電源と専業メーカー製電源の違い

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対談者:電源技術者としてこの道30年、株式会社アルバック 電源技術部 矢島 (写真)
聴き手:株式会社アルバック 規格品事業部 荒木


真空装置の設計時の電源の選定で何を基準に考えたら良いか悩んだことはありませんか。

真空ポンプや真空計と異なり、成膜用電源は、直接的に真空の知識を用いて選定する製品ではないため、他の真空コンポーネントと比較しても情報が少なく苦慮することもあるのではないでしょうか。

今回は、そんな電源について求められるニーズや真空装置ユーザーが気にするべきポイント、電源開発者がどのような点を気にしながら成膜用電源を開発しているのかについて、弊社の電源エキスパートにインタビューをしました。

早速ですが、真空装置ユーザーのお客様と打ち合わせを持つ機会が多いと思いますが、ユーザーは電源を選定する際にどのようなことを気にされていますか?

お客様は実施したいプロセスによって何を一番重要視するのかをよく考えています。そのため、お客様によって優先順位が異なります。例えば、コスト、性能、信頼性などがあげられます。最近では納期なども重要視するお客様が増えている印象を受けます。但し、どのようなお客様であっても、電源の信頼性が低いことにより装置が止まってしまうことを最も避けたいと感じる傾向はあると思います。

プロダクト製造において、どんな時でも電力の安定供給を実現することが、成膜用電源に対するニーズの中でも関心が高い事項と言えそうですね。

そうです。どのお客様でも共通で基本的な要求事項と捉えています。成膜プロセスにおいて電源は重要な位置付けであり、無くてはならないコンポーネントの一つになります。

ではそのようなニーズを満たす為には、どのような電源を選べばよいのでしょうか?

様々な装置で検証および実績がある電源をおすすめします。真空装置と言っても、真空プロセスは多岐にわたりますので様々なプロセスに使用でき、それぞれのプロセスを経験した独自のノウハウを入れ込んだ汎用性の高い電源を選択いただくのが良いと思います。

なるほど。電源というと、アルバック以外にも電源を専業で製造しているメーカーもありますが、他社メーカーでも開発時に、必ず成膜装置やエッチング装置、アッシング装置等を用意して検証デモを行っているのでしょうか?

もちろん、世の多くの電源メーカーでも、やはりこれらの課題を解決する為に、電源開発時に様々な耐久試験を科しているとは思いますが、開発時に成膜装置や、エッチング装置、アッシング装置の実機をふんだんに用いて、検証を行っているメーカーは少ないのではないかと思います。

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電源だけに特化して、より良い電源づくりを目指していればそれで事足りると思いますが、開発のポイントは他にもあるのでしょうか?

電源に限らず、モノづくり全般に当てはまる事かとは思いますが、開発時の課題点をどう捉え、どのように向き合っていくかが開発者の頭を悩ませる点でもあり、また、やりがいを感じる点でもあります。

我々の作っている製品の先には、真空装置のユーザー様がいて、その先に、それらの装置によって作られる様々なプロダクトを使用するエンドユーザー様がいるので、少なくとも『真空総合メーカー』であるアルバックとしては、『最終的にエンドユーザー様がご満足頂ける製品をお届けする』、というところまでを考慮しての製品開発を行わなければならない訳です。

そして、その考えを突き詰めていった結果、我々としては、様々な真空プロセスでの検証や、ここを改善したほうがもっと良くなるのではないかという改善・改良のフィードバックを重視するということが、より良い成膜用電源を作る最適解であると考えています。

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なるほど。電源の使用先である装置も手掛けているからこそのこだわりですね。

すべてのお客様の声を製品に反映することは困難ですが、そこであきらめることなく、運用面で取り入れることによってお客さんの要望に応えられないだろうか、またはオプションの機能を搭載することにより必要な機能を必要なお客様に提供できないかなど、『電源でプロセスに貢献できることはないか』という視点で製品開発やサービスの在り方を検討することが重要と考えます。

装置メーカーが電源を作る場合は、グループを含めた社内から、装置及びサービス面についてのお客様の声が得られ易いので、スピード感をもって多角的に解決策を検討でき、電源開発の環境としては非常に恵まれていると思います。

ユーザーがグループ内にいるからこそ、より多くの課題に気付くことができますし、気配りされた良い製品を提供できるということですね。

ええ。それに、グループ間のネットワークを活用することにより検証に使える装置の母数も多くなりますので、評価用の電源を用いた問題無しの確認だけでなく、実際の波形などを取得して、それらが意図した動きになっているかなど、実プラズマ負荷で細かい部分も確認でき、検証の幅が広がります。こういった細かな検証の積み重ねによって装置メーカー製電源ではスペックに見えないノウハウを搭載することが可能となります。

これから真空装置を構築しようと考えておられるユーザー様は、一度、この視点で電源を選んでみると良いのではないかと思います。

ありがとうございます。カタログに記載のスペック値を読んだだけでは判らない、製品の価値というものがあると初めて知りました。でも、それだと具体的にはどのようにして良い電源を選定すれば良いのか判らないのですが...。

まずは一度弊社にご相談下さい。ちょっと宣伝っぽくなってしまいましたが()

アルバックでは今お伝えした様に、社内の装置事業部の技術者から実際に電源を使用した感想をフィードバックして、装置全体として適切な回路設計はどうか、どこをどう改善すれば、より使いやすい電源となるのかを考えながら電源開発を行っています。また、全国24箇所のメンテナンス部隊から迅速な初期対応が可能な為、万が一の故障の際のサポート体制も充実しています。

今回の対談記事をきっかけに、成膜装置における電源の役割や重要性について少しでも知って頂ければと思います。そして、アルバックが装置メーカーとして、非常に信頼性の高い電源も作っているということを頭の片隅にでも入れて置いて頂けますと非常にありがたいです。


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株式会社アルバック 電源技術部 矢島 (写真右)、規格品事業部 荒木 (写真左)

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