真空ポンプ セレクションガイド
真空ポンプを選定するには、まず必要となる排気速度を見積った上でさらにその用途に適した種類の中からポンプを選ぶことが大切です。各種ポンプの用途、特長、性能を一覧にしました。ご使用目的に合わせてお選び下さい。
圧力単位(Pa)
クライオポンプ
CRYO-U シリーズ
アルバック・クライオ
排気速度(20℃) | 窒素 | L/s | 1,700 |
水素 | 3,200 | ||
アルゴン | 1,400 | ||
水 | 4,000 | ||
到達圧力 | Pa(Torr) | 10-7(10-9) | |
最大流量 | アルゴン | Pa・L/s(Torr・L/s) | 1.2×103(8.9) |
水素 | 2.4×102(1.8) | ||
排気容量 | アルゴン | Pa・L(Torr・L) | 2.5×108(1.9×106) |
水素 | 1.0×106(7.8×103) | ||
冷却降下時間 (電力サイクル) |
min(Hz) | 125/115(50/60) | |
吸気口フランジ | UVG-200,6BANSI,UFC-253 | ||
コンプレッサユニット | C10T,C10AT | ||
質量 | Kg | 33.2 |
*メンテナンスインターバル:16,000時間
冷凍機はモータでバルブを開閉しますので、1分間にシリンダーに入ってくる量はモーターの回転数で決まります。
50Hz:60回転
60Hz:72回転
ですので、シリンダーに入って来るガス量が60Hzの方が約20%(72/60=1.2)多くなり、それだけ冷凍能力が大きくなります。 なお、冷却降下時間も60Hzの方が若干早くなります。
クライオポンプとは真空中に極低温に冷却された面(10~15Kに冷却されたクライオパネルと80K程度に冷却された80Kバッフル、80Kシールド)を置き、 この面に衝突する気体分子(Ar、N2、H2、H2Oなど)を 凝縮又は吸着することにより排気します。
クライオポンプがガスを導入している状態で、クライオパネルの温度が20Kに達する時のガスの流量を最大流量と言います。
簡単に言うと、クライオポンプ内に溜め込まれる気体量を言います。排気容量には、凝縮性気体(Ar、N2等)に対する排気容量と 非凝縮性気体(He、H2、Ne)に対する排気容量とがあり,前者はクライオパネルの凝縮性気体がバッフルに接触するまで排気した量を言い、 後者は(H2について)は排気速度が初期の値の80%に低下するまで排気した時の気体量を言います。 導入したガス量を測定しながら排気速度を測り、排気速度が初期の値の80%に落ちた時のガス量を求めます。
クライオポンプの冷凍機には冷媒として10Kでも液化しないHeガスが使用されます。 コンプレッサーから送られたHeガスは、冷凍機の膨脹室で膨脹し、寒冷を発生(サイモン膨脹)させるサイクルをくり返し、温度を下げます。
Heガスはコンプレッサーユニットから冷凍機に入ると約10K(-263℃)まで冷却されます。この時ヘリウム以外のガス(H2、Neは除いて)や不純物等があると凍結し、冷凍機のディスプレーサーを傷つけたり、シールを傷つけたりします。 それで、ファイブナイン(5N・99.999%)以上の純度が必要です。Heガスの液化温度は4.2Kです。
約70℃まで上がります。自己温調型です。
(1)クライオポンプケースにヒーターを取り付け、最大70℃まで加熱しながら、ソープションポンプやターボ分子ポンプで排気する。
(2)高温までベークする場合は、冷凍機取付部分に水冷パイプを取付け、シールドの温度が10℃を越えたら、冷凍機を運転しながらベークします。 ベーカブルタイプの場合は、機種によりますが最大約250℃のベークが可能です。
大別して3つに分かれます。 1つはポンプ内のインナーキット、もう1つは冷凍機ユニット、そしてコンプレッサーです。
1.インナーキットは、使用条件により交換時期が異なります。クリーニングするだけの場合や、腐蝕性のガスをご使用されている場合は、定期的に交換する場合もあります。
2.冷凍機は、ベアリングやシール類を定期的に交換します。
3.コンプレッサーは、油吸着器(アドソーバー)を定期的に交換します。
0.01MPaGから作動し、0.02MPaGで全開になります。
気体の飽和蒸気圧曲線、平衡蒸気圧曲線から、クライオポンプが気体を有効に排気するためには、凝縮の場合には蒸気圧が、吸着の場合には吸着平衡圧力が10-8Pa以下でなければなりません。 水とかCO2に対し、130K以下、Ar、N2、H2等に対し、20K以下で有効な排気速度が得られます。
吸着パネルの活性炭の色、又は質量分析計等で判定します。
(1)ロータリーポンプのガスバラストをきかせて排気する。
(2)クライオポンプを最大70℃に加熱し(バンドヒーター等)ホットN2ガスでパージし、水を追い出す。
(3)クライオポンプに水抜のバルブを設ける。
(4)ロータリーポンプに、油水分離器を使う。
クライオポンプの大きさにより異なりますし、取り付け方法及び装置の重さによって変わります。 振動を低く抑えた低振動型のクライオポンプがあります。
クライオポンプに対する熱負荷とは、放射熱(輻射熱:真空装置から来る)と気体による凝縮熱(気体が凝縮及び吸着する時の負荷)と気体の熱伝導による熱負荷を言います。
熱負荷に強いとか弱いとかは、クライオポンプが輻射熱や気体による凝縮熱に対して温度上昇が少ないものが強く、その逆を弱いという表現をします
クライオパネル、シールド、バッフル、シリンダー等の使用状況により寿命は異なります。 冷凍機やコンプレッサは正しくメンテナンスを行うことにより、10年以上使用されているケースも多くあります。
標準型(O-リングタイプ)では、10-7 Pa以下です。
ベーカルブルタイプ(メタルガスケットタイプ)では、10-8Pa以下です。
ベーカブルタイプで10-10Pa台の実績もあります。
当社で所定の日常の点検項目リストを用意しています。
それに従って日常点検していただくことをお薦めします。
ご依頼いただければ当社にて、試験を行います。また、装置に搭載したままでチェックする場合は、日常点検項目のデーターで推定はできます。
クライオポンプがエッチング装置(RIE)についているものもあります。この場合、クライオポンプは補助ポンプとして使用されています。
クライオポンプはすべてのガスを排気できます。ただし、Heは排気容量が小さいため、多量のHeを排気することはできません。
清浄な高真空、極高真空が要求される装置(例えば蒸着装置、スパッタリング装置、イオン注入装置、半導体プロセス装置、加速器、核融合装置、表面分析装置、スペースチャンバー等)で使用され、半導体や液晶、ディスク等の電子部品やメガネレンズなどの成膜装置等に広く応用されています。
日本語で交差圧力(Crossover Pressure)と訳しています。真空槽を粗引きし、メインバルブを開けてクライオポンプに切り替える時の真空槽の圧力(粗引圧力)をいいます。この時に許される最大の粗引圧力を最大許容交差圧力といいます。
メインバルブを開けた瞬間に真空槽の気体はクライオポンプに流入し排気されますが、気体の量が限界を超えるとクライオポンプは昇温し、それまで排気した気体を放出してしまいます。
最大許容交差圧力は、その限界の気体量(処理し得る最大のガス吸込み量)を真空槽の容積で割ることにより得られます。
コンプレッサの油は圧縮機本体と油分離器の間を循環しています。従って減ることはありません。 アドソーバーで一部吸収されますが、性能には全く支障のない量です。
あります。アルゴンの排気容量を増加させたクライオポンプがあります。
スパッタリングプロセス用クライオポンプを参照下さい。
ディスプレーサーの中見は、金属メッシュ(1段側)金属粒(2段側)が入っています。これが蓄冷材として使用されています。
洩れません。ジョイント部分がセルフシールカップリングになっています。
取付け、取りはずし方は、各製品の取扱説明書をご覧下さい。
(1)自然昇温法・・・・・・・クライオポンプを止め、自然にクライオポンプ内を室温まで昇温させ、40Pa(0.3Torr)まで粗引き、ビルドアップ試験を行い、クライオポンプを起動させる。
(2)パージ法・・・・・・・・・クライオポンプを止め、クライオポンプ内にNガスを導入し放出する。 昇温が早くなり、ポンプ内も清浄になる。次に40Pa(0.3Torr)まで粗引き、ビルドアップ試験を行いクライオポンプを起動させる。 ホットN2及びバンドヒーター等で加熱することは再生時間を短縮んする上でより効果的である。
(3)急速再生・・・・・・・・・プロセスにより急速常温再生、急速低温再生をご提案しております。 従来の再生時間を約1/2に短縮することが可能です。 詳細につきましては、お問い合わせ下さい。
通常は減る事はありません。Heガスがリークした場合のHeガスチャージは、高純度ヘリウムガス(99.999%)と専用のレギュレーターとチャージングホースでチャージできます。
但し、Heがリークしている場合は、最寄りのアルバックテクノサービス拠点にご連絡ください。
あります。バッフル、クライオパネル、シールド、シリンダーの表面に耐食性の特殊表面処理を施した 耐蝕性クライオポンプがあります。
お客様で取り外して頂いた後、専用の容器に入れ密閉してアルバックテクノに送っていただきます。それを無害化処理し、オーバーホールした後お返し致します。
クライオポンプを40Pa(0.3Torr)まで粗引きして起動させてからクライオパネルが20Kになるまでの時間。
(クライオポンプの場合)
オイルフリーを望む場合は、スパッタイオンポンプとの併用が効果的で、到達圧力を下げたい場合もこの組み合わせが有効です。 また、ターボ分子ポンプとの併用が可能です。 油拡散ポンプは油の逆流があるので推奨できません。
(スーパートラップの場合)
拡散ポンプ、ターボ分子ポンプとの併用が可能です。
トラブルシューティング
クライオポンプは信頼性が高く、長期間の連続運転が可能なように設計、製作されています。 故障することもあり得るため簡単な故障については、故障診断と対策・応急処置については知っておくことが必要です。
クライオポンプの使用台数が多く、1台でも停止すると大きな影響がでる装置の場合は、安全のため予備機を持つことを推奨します。
クライオポンプの故障診断の詳細は各取扱説明書に載っていますが、ここではトラブル例と、その応急処置方法について簡単に説明いたします。
(注記)いずれのトラブルでも、対処ができない場合は、弊社または最寄りのサービスセンターに連絡して下さい。
■トラブル例[1] クライオポンプの引きが悪い。
■トラブル例[2] ヘリウム圧が低下する。
■トラブル例[3] クライオポンプの冷却時間が長い、又は冷却時間が長くなった。
■トラブル例[4] クライオポンプの異常音・異常振動。
CRYO-Uシリーズ( CRYO-U30、U22以外)は小型ヘリウム冷凍機を使用しているため、いかなる方向にも取付が可能である。ただし、シールの磨耗の点からは同一方向で使用することが望ましい。
水素蒸気圧温度計の場合はメーターの読み取りがしやすいようにポンプを配置すること。
コンプレッサーユニットは圧力計のチェックができるように設置することが望ましく、水平な床面(水平±5°以内)に設置しなければならない。
クライオポンプ、コンプレッサーは保守がしやすいように、その周囲に十分なメンテナンススペースが必要である。空冷式のコンプレッサーの場合、その前後に空気の流通を阻害しないように30cm以上のスペースを確保すること。また、熱交換機(ラジエター)にごみ等がつまってないか定期的にチェックし掃除すること。
フレキホースは直角に曲げるとリークが発生することがあるため、250mm以上の曲げ半径でなければならない。もし、直角に曲げる必要がある場合は、L型金具付のフレキホースや、エルボー継手を使用すること。
図1は、クライオポンプの代表的な使用例を示した場合である。この図で、粗引き圧力が40Paであれば粗引きポンプからの油蒸気の逆流は発生しないため、フォアライントラップは不要である。
フォアライントラップを使用する場合は、フォアライントラップ自身の再生も時々必要となる。通常、クライオポンプ自身には電離真空計は不要であるが、クライオポンプ単体での到達圧力の確認などを行う場合には役に立つため、普段は使用しなくとも取付けておくことを推奨する。
前述のようにクライオポンプはどの向きにも取付が可能であるが、大量の水を排気する場合は、再生時に溶けて液体になった水の流出先をあらかじめ考慮しておく必要がある。
図1:クライオポンプの使用例
H2VP | 水素蒸気圧温度計 | CA | CA熱電対 |
V1 | 主バルブ | V2 | 再生用粗引きバルブ |
V3 | 真空槽用粗引きバルブ | V4 | 粗引きバルブ |
P1、P2 | ピラニー真空計 | P3、P4 | 電離真空計 |
クライオポンプの冷凍能力は、機種によって異なるが1段が80Kで数十ワット、2段が20Kで数ワット程度である。一方、真空装置内には蒸発源やヒーターなどの熱源がある。
図2は、直径254mm(10型)の面から放出される輻射熱の量を示したもので、温度の上昇、輻射率の増加とともに放出される熱量も増加してくる。真空装置内で発生する熱量はクライオポンプの冷凍能力をはるかに上回るため、この熱がクライオポンプに入射すれば冷却不良となりクライオポンプは排気能力を失うことになる。このように、真空槽内に熱源がある場合は、熱源から隔離し遮蔽する必要がある。
図2:Φ254mmからの輻射熱 輻射率と温度の関係
図3は熱源のある場合の取付例で(1)は輻射熱が直接入射するため使用不可である。(2)、(3)は使用可であるが、熱源の温度が高い場合は反射で入射する輻射量も計算しておく事が必要である。
図3:発熱源のある場合の取付例
<参考のため、クライオポンプへの輻射熱による熱負荷の計算式を示しておく。>
Q=εAV・σ・A・(Tw4-T14) (W)
εAV:平均の輻射率,σ:ボルツマン定数=5.67X10-12(W/cm2/K4),A:受熱面積(cm2)
Tw:室温壁の温度(通常300K), T1:シールド・バッフルの温度(通常80K)
クライオポンプに使用されているコンプレッサーユニットには、空冷式のものと、水冷式のものとがあり、コンプレッサーユニットへの入力電力のほぼすべては熱となる。
空冷式の場合は、この熱を空冷ファンと熱交換器(ラジエター)によって冷却する。空冷式の場合、冷却水を使用しないので、ランニングコストや配管工事が不要である。しかし発生する熱の全てが大気に放出されるため、空調が必要になり、騒音やダストの原因にもなるため、最近は水冷式のタイプが多用されている。
水冷式コンプレッサーユニットでは、水温が低すぎる場合、コンプレッサー内部のオイルの粘性が高くなり、起動困難や圧縮機のオーバーロードになることがある。
水温が高すぎる場合や、流量が少ない場合は、圧縮機の加熱・冷却不良となり、サーマルスイッチが作動し、停止することがある。冷却水には適切な範囲があり、取扱説明書の水温と流量の許容範囲を守ることが必要である。水温が10℃以下の場合には、コンプレッサーユニットを停止したら冷却水も必ず止めること。
これも起動困難の予防処置である。また、停止中に冷却水が凍結する恐れがある場合は、凍結により配管が破裂する危険があるため、エアブローを行ってユニット内に冷却水が残存しないように完全に抜き取ること。
冷却水の水質としては、配管を腐食させたり、水垢、スケール等の付着や堆積のない清浄な冷却水を使用することが必要である。
水質が悪くて配管の流路が狭くなってくると、流量の低下、熱伝達不良が発生し、冷却不良の原因となる。
また、配管に腐食を発生させるような水質の場合には、熱交換器にピンホールが発生し、重大事故につながる場合もある。
アルバック・クライオでは、熱交換器の寿命延長、性能の保持に効果があると思われる水質基準として日本冷凍空調工業会の水質基準を参考としている。
冷却水中に含まれる固形物の付着・沈殿による悪影響や、一時的な水質の悪化なども起こり得るため、定期的に水質検査を行ったり、配管の洗浄を行うことを推奨する。
表1:冷却水の水質基準(日本冷凍空調工業会の水質基準を参考)
項 目 | 一般用 基準値 | クライオポンプ用 推奨値 | 傾 向 | ||
腐 食 | スケール生成 | ||||
基 準 項 目 | pH (25℃) | 6.5~8.0 | 6.5~8.0 | ○ | ○ |
伝導率(25℃) (μ S/cm) | 800以下 | 200以下 | ○ | ○ | |
塩化物イオン Cl- (mg Cl-/L) | 200以下 | 50以下 | ○ | ||
硫酸イオン SO2-- (mg Cl-/L) | 200以下 | 50以下 | ○ |
クライオポンプの運転サイクルは次の3つの過程から成り立っている。
(1) 運転開始 クライオポンプの粗引きと冷却降下
(2) 通常運転 クライオポンプによる真空装置の排気
(3) 運転停止、再生 クライオポンプの停止と再生
クライオポンプの始動は、次の手順で行う。
(1)主電源を入れる。
(2)コンプレッサーユニットが水冷式の場合は、冷却水を流す。
(3)クライオポンプ内を40Paまで粗引きする。(13~20Pa以下に粗引きすると、ロータリーポンプの油蒸気がクライオポンプに逆流し、クライオポンプ内が油で汚染される。)通常、ここで圧力上昇試験を行う。
圧力上昇速度の推奨限界値はΔP/Δt≦1.3Pa/min
(4)クライオポンプを起動する。
(5)クライオポンプが作動状態になるまで待つ。クライオポンプが作動状態になるのは、
●15Kクライオパネルの温度が20K以下
●80Kシールドの温度が130K(CA熱電対の起電力が-5.5mV)以下になった時で、この温度まで下がるのに要する時間(冷却降下時間)は機種によって異なり、表4-2のようになる。
(6)クライオポンプが作動状態になったら通常運転に入る。
表2:各機種の冷却降下時間(粗引き:40Pa)
機 種 | U6H | U8H | U8HSP | U10PU | U12H | U12HSP | U16 | U16P | U20P | U22H | U30H | |
冷却時間 (分) | 50Hz | 80 | 100 | 110 | 150 | 85 | 90 | 110 | 120 | 160 | 150 | 240 |
60Hz | 70 | 90 | 100 | 135 | 75 | 80 | 100 | 110 | 140 | 135 | 200 |
(注)クライオポンプ内が汚れていたり、熱負荷が多い場合、また再生操作等により、クライオポンプ内が完全にドライになったり、粗引後の残留気体中にHe,H2,Neの気体を分圧で約0.1Pa以上含む場合には、冷却降下時間は表の値よりも長くなる。
CRYO-U12Hの運転サイクル例
クライオポンプが作動状態に入ったら、次の手順で真空槽の排気を行う。
(1)真空槽を最大許容交差圧力(6.5参照)以下に粗引する。(通常、粗引圧として40Paが採用される)ただし、粗引ポンプからの油蒸気が真空槽に逆流するのを防止す るため、13Pa以下にはしないこと。
(2)主バルブを開け、真空槽の本引きを行う。
(3)真空槽の圧力が所定の値に達したら、蒸着、スパッター等の所定の操作を行うことができる。
(1)主バルブを閉じる。
(2)クライオポンプをOFFにする。
(3)水冷式コンプレッサーの場合は、必要に応じて冷却水を停止する。
(4)15Kクライオパネル、80Kシールドの温度が完全に室温に戻ったら、クライオポンプ内を10~100Paに粗引しておく。もし、昇温中に気化した気体によりクライオポンプ内の圧力が大気圧以上になる場合は、必ずベントバルブを設け、ポンプ内の圧力が大気圧以上にならないようにバルブを開け、気体を放出すること。
クライオポンプは貯め込み式のポンプであるため、貯め込んだ気体の量が限界に達したら外部に放出し、再び排気できる状態に戻すことが必要であり、これを再生(regeneration)と言う。クライオポンプが排気できる限界の気体の量を排気容量と言う。クライオポンプの再生が必要となるのは、次の条件のいずれか1つが成立した場合である。
(1)15Kクライオパネルの温度が20Kを超えた場合
(2)80Kシールドの温度が130K(-5.5mV)を超えた場合
(3)主バルブを閉じて5分後の圧力が1.3×10-4Pa以下にならない場合
(4)排気性能が装置のスペックを満足できなくなった時
通常の使用条件では、再生は排気した気体の量が排気容量に達した場合の他に、装置のメンテナンスなどで装置が停止する時や、休日の日などに定期的に行われるのが一般的である。休日などに無人で再生を行う場合は自動再生が行われる。
再生は次の3過程より成る。
(1)昇温過程
(2)粗引過程
(3)冷却降下過程
再生の時間短縮には昇温と粗引きを早くすることが必要である。再生を完全に行うためには、完全に室温まで昇温させ、効率的な粗引きを行うことにより吸着剤が吸着している水分を完全に除去することが必要である。氷は0℃以上にならないと融解しないため、水分を完全に除去するためには0℃以上に昇温させることが必要である。
(1)昇温過程の効率化
クライオポンプを停止させ、室温まで昇温させる方法には次の方法がある。
(1)自然昇温 :特別なことはせずクライオポンプをOFFにし、放置。
(2)バンドヒーター :クライオポンプを外部から加熱し昇温を早める。
(3)N2パージ :ポンプ内部に窒素ガスをフローし内部から暖め昇温を早める。
(4)N2パージ+バンドヒーター:(2)、(3)を併用。
(5)ホットN2パージ :70℃まで加熱したN2をフロー。
(6)ホットN2パージ+バンドヒーター:(2)、(5)の併用で昇温は最も早い。
クライオポンプを停止してから室温に戻るまでの時間は、前述の昇温方法のほかに、それまでに貯め込まれた気体の量と種類、ポンプの機種によって大きく異なるため、あらかじめ昇温時間を予測することは困難である。
通常、N2パージー法による昇温時間は60~90分程度が目安となり、再生方法の違いによる昇温時間の違いは次の表で与えられる。これは、N2パージー法による昇温時間を1とした場合の比較であり、やはり目安としてのみ使用すること。
表3:昇温方法による昇温時間の違い(目安)
昇 温 方 法 | 昇温時間の比率 |
1.自然昇温 | 3~6 |
2.バンドヒーター | ~1.2 |
3.N2 パージ | 1 |
4.N2 パージ+バンドヒーター | ~0.85 |
5.ホットN2 パージ | ~0.80 |
6.ホットN2 パージ+バンドヒーター | ~0.70 |
図5:クライオポンプの昇温過程
右図は、クライオポンプの昇温の状態を表したもので、A,B,C,Dの4パターンに大別される。
A:N2パージ+バンドヒーター(水分が少ない場合)
シールド、バッフルは約40℃まで昇温、ポンプ内の水分が除去され、良好な再生状態が得られる。
B:N2パージのみ (水分が少ない場合)
最も普通に行われている方法で、水分が少ない場合には良好な再生が行われる。
C:N2パージ+バンドヒーター(多量の水を排気した場合)
0℃で氷が融解し、水に戻るため昇温が一時止まる。しかし、バンドヒーターで加熱されているため氷が早くとける。(基板がガラス、プラスチックの時推奨)
D:N2パージのみ、または自然昇温の場合で多量の水分を排気した場合
加熱量が少ないため、氷がなかなか水に戻らず氷の状態を維持している。このまま粗引きを行えば氷はそのまま残るため、再生不十分となり早く排気性能が低下する。ガラス、プラスチックへの成膜では特に注意が必要である。
CA熱電対の起電力が0mV付近まで戻っていることを確認すること。バンドヒーターの併用が不可欠である。
特に、水分が多いと予想される場合は、再生中のCA熱電対の起電力をレコーダーに記録し、どのパターンであるかを確認し、また、氷が完全に溶けていることを確認すること。
(2)粗引き過程
クライオポンプの粗引きは、通常ロータリーポンプで行われる。ロータリーポンプを使用した場合、圧力の高い領域では空気の粘性流フラッシング作用のために逆流量が少ないが、およそ15Pa以下では粘性流フラッシング作用が減少し、これ以下の圧力まで粗引きをすると油の逆流が増加し危険である。
アルバック・クライオのクライオポンプは、さらに安全を考慮し通常の用途では40Pa の粗引き圧で性能を保証している。20Pa以下まで粗引きする場合は、フォアライントラップの使用を推奨する。ゼオライトトラップを使用した場合は、(1)粗引き時間が長くなる、(2)水が多い場合は、すぐに飽和する、(3)ダストの原因となる、(4)定期的な活性化が必要、などの点に注意すること。
クライオポンプ内に大量の水がある場合に粗引きを行うと、水の蒸発に伴い蒸発潜熱が奪われるため水の温度が下がってくる。水が少ない時は全部蒸発してしまうが、多い場合は凍結し氷となって残存することになり、再生は不完全となる。水の多い場合は粗引き中も常にバンドヒーターで加熱しておき水が凍らないようにすることが重要である。また、大量の水をロータリーポンプで排気した場合、油が乳化し40Paまで粗引きすることができなくなることがある。通常、この場合は油の交換頻度を多くすることになるが、対策としては、
(1) 油の量が多く、水処理能力が高い大型のロータリーポンプを使用する。
(2) 水と油が分離でき、水抜きがついているロータリーポンプを使用する。
(3) メカニカルブースタポンプを使用し到達圧力を下げる。(ただし、ロータリーポンプの油は定期的に交換すること。)
などの方法がある。大量のガラス、プラスチックを処理する場合には、大量の水を処理することになるため、あらかじめこのような対策をしておくべきである。
再生の効率アップの方法には、窒素ガスの導入、バンドヒーターによる加熱があるが、アルバック・クライオでは窒素ガスの導入用機器として再生ガス配管ユニットPR型、再生用バンドヒーターとしてはRBH型がある。また、自動再生用のコントロール機器としては再生用コントロールユニットARC型が用意されている。
図6:再生ガス配管ユニットPR型
図7:再生用バンドヒーターRBH型
図8:RBHの昇温特性
RBH型再生用バンドヒーターは自己制御型の発熱体を使用しているため、温度調節機が不要である。 発熱体の抵抗は温度が上昇するにつれて増大するため電流が抑制され、設定温度になるとそれ以外の昇温がなくなり、温度は一定値に保たれる。
バイメタル等の温度調節機を使用していないため、故障によりオーバーヒートすることがなく安全である。
クライオポンプは凝縮性の気体を大量に貯め込むことができる。
(表6-6参照)が、クライオポンプの内容積は数十L程度であるため、クライオポンプを密閉した状態で昇温させると内部の圧力が数十気圧にも達し、非常に危険である。
そのため、クライオポンプには必ず安全弁が取り付けられており、内部の圧力が高くなった場合に、内部の気体を外部に放出し圧力が上昇しすぎないようにしている。
安全弁は20kPa(gage)で開くように設計されている。
安全弁は安全のためにあるものであるため、安全弁を塞いだり、改造したり、再生時のガスパージ用バルブの代わりなど、他の用途のためには絶対に使用しないこと。
クライオポンプには、必ず再生時のガスパージのためのバルブを設け、パージすること。
クライオポンプに導入する再生用の窒素ガスの圧力は、安全弁が作動しないように20kPa(gage)以下に減圧しておくこと。
ガスパージ用バルブのオリィフィスは大きいものを使用し、ポンプの内圧が上昇しすぎないように注意すること。
安全弁が作動した場合は、安全弁のシート面にごみ等が付着しリークすることがあるので、安全弁の清掃を励行してください。
また、有害ガスを使用している場合は、安全弁にダクトを取り付け処理設備に導き、外部に漏れないように安全には十分留意すること。
クライオポンプは溜め込み式のポンプのため、ポンプ再生時あるいは昇温時、排気されたガスがポンプ内に再放出されます。排気されたガスは純粋な単一ガス体であることはまず考えられません。他のガス、特に空気との混合である場合が多いと思われます。そこに引火の原因があれば燃焼あるいは爆発をおこすことになります。
(1) 真空計のフィラメントの点灯による点火
(2) 加熱ヒーター類による引火
(3) 静電気による点火
静電気は、粗引き配管や排気ダクトが塩化ビニールなどのプラスチックである場合に発生しやすくなります。粗引き配管、排気ダクトなどはすべて金属製の配管にすることを強く推奨します。その時、配管は必ず接地してください。接地抵抗として100Ω以下にしてください。
表1:主要がスの特性、燃焼範囲と爆ごう範囲(空気との容量%)
ガス名 | 分子量 | 比重 0℃,1atm 空気=1 | 沸点 K | 燃焼範囲 Vol % | 爆ごう範囲 Vol % |
---|---|---|---|---|---|
水素 H2 | 2.016 | 0.070 | 20.3 | 4.0~75.0 | 18.3~59 |
一酸化炭素 CO | 28.01 | 0.97 | 81.7 | 12.5~74.0 | - |
硫化水素 H2S | 34.08 | 1.19 | 213.6 | 4.3~45.0 | - |
シラン SiH4 | 32.14 | 1.107 | 161.2 | 0.8~98 | - |
アルシン AsH3 | 77.94 | 2.692 | 210.7 | 0.8~98 | - |
ホスフィン PH3 | 34.00 | 1.146 | 185.5 | 1.3~98 | - |
ジボラン B2H6 | 27.67 | 0.955 | 180.7 | 0.8~98 | - |
アンモニア NH3 | 17.03 | 0.59 | 239.8 | 15~28 | - |
メタン CH4 | 16.04 | 0.555 | 111.6 | 5.3~14 | - |
エタン C2H6 | 30.07 | 1.04 | 184.6 | 3.0~12.5 | - |
プロパン C3H8 | 44.10 | 1.550 | 231.1 | 2.2~9.5 | - |
エチレン C2H4 | 28.05 | 0.978 | 169.5 | 3.1~32 | - |
アセチレン C2H2 | 26.04 | 0.907 | 198.2 | 2.5~100 | 4.2~50 |
表2:酸素と可燃性ガス混合物の燃焼範囲及び爆ごう範囲
ガス名 | 燃焼範囲(Vol %) | 爆ごう範囲(Vol %) |
---|---|---|
水素 | 4~94 | 15~90 |
アセチレン | 2.3~94.5 | 3.5~93 |
メタン | 5.1~61 | - |
プロパン | 2.3~55 | 3.7~37 |
一酸化炭素 | 15.5~94 | 38~90 |
アンモニア | 15~79 | 25.4~75 |
クライオポンプ内の酸素は、燃焼の原因になり危険です。
プロセスガスに酸素をお使いになるときは、次のような特別な注意が必要です。
クライオポンプの取扱説明書にしたがってクライオポンプを取扱ってください。
さらに次のことに注意してください。
☆クライオポンプの再生中、クライオポンプに点火の原因となるもの(例えば、フィラメントタイプの真空計を点灯するなど)がないようにしてください。
以下図2を参照下さい。
①クライオポンプから排出されるガス用配管は金属配管とし接地させて静電気の発生がないようにして下さい。
②不活性ガスを適切な量、導入して再生を行って下さい。
③クライオポンプから排出されるガスが大気に放出される前に燃焼範囲以下の濃度になるよう排気ダクトに不活性ガス(例.N2ガス)を導入して希釈して下さい。
④排気ダクトへのN2希釈はクライオポンプの再生開始と同時に行って下さい。それは、クライオポンプから排気ダクトにクライオポンプ内のガスが放出された時に排気ダクト内には空気(酸素)が無いようにするためです。
⑤クライオポンプの安全弁は排気ダクトに接続し, 安全弁が吹いた場合でも不活性ガスで希釈されるようにして下さい。
クライオポンプ中の酸素と反応する物質の量が最小限になるように再生周期を決めて再生をおこなってください。
クライオポンプ内の酸素濃度が空気よりも高い状態(例.停電後)で粗引きすることは避けて下さい。必ず不活性ガスで希釈してから行って下さい。
より安全に再生を行うために, 粗引きポンプとして油回転ポンプをご使用の場合は、潤滑油を酸素と反応しにくい無機物のフォンブリン油と交換して使用するか、又はドライポンプを使用されるようお願いします。
停電後の真空槽も即真空引きしないで下さい。真空引きする前に必ず不活性ガスで希釈してから行って下さい。
クライオポンプ内のオゾンは、爆発の原因になります。
オゾンは、酸素をプロセスガスとして使用するときに発生する可能性があります。
オゾンは、イオン化プロセス中(例えば、スパッタリング、エッチング、グロー放電,EB蒸着)、知らないうちに生成されている可能性があります。
特にクライオポンプの再生中は、オゾンがあると爆発する危険があります。
オゾンの発生を知るために、次のような項目をチェックしましょう。
再生開始の数分で放電するようなパチパチ、ポンポンという音がする。
再生時、クライオポンプから排気されるガスにアーク溶接の時のような刺激臭がある。
プロセスの変更がオゾンの発生量を増加させる可能性があります。
多量のオゾンは、激しい爆発の原因になり、非常に危険です。
オゾンが発生した場合、次のような点に注意してください。
1.上記の酸素に対する注意にしたがってください。再生の頻度を増やし、クライオポンプのオゾン量を最小限におさえてください。必要な再生の回数は、流量やプロセスにより異なります。毎日、再生をおこなう必要があるかもしれません。
2.プロセスに影響がない限り、酸素の導入量を最小限に減らしてください。
*酸素を排気するときは、装置メーカー又はアルバック・クライオ(株)にご相談ください。上記項目以外に下記の対策が必要か検討致します。
停電時にもクライオポンプ内, 排気ダクト内にN2導入できるように制御回路を組んで下さい。このためには無停電電源が必要となります。最低必要なのは温度計、クライオポンプへのN2パージ用バルブとクライオからのガス排出用バルブ、クライオ内の大気圧確認器そして排気ダクトへの希釈用N2導入バルブです。
停電後再生が必要か否かはクライオポンプ2段温度が20Kを超えているかどうかで判断下さい。20Kを超えている場合は再生を実施, 以下の場合はそのまま再起動して下さい。
図1:酸素/可燃性ガスの希釈方法(1)
可燃性ガス(プラズマ反応などにより真空槽内部で可燃性ガスが生成される場合も含む)を排気した後のポンプの再生については特に注意してください!
・水素ガスの生成例としては、プロセスガスの分解、ターゲット材及び蒸着材からの放出、基板及び内容物からの放出ガス(H2O)の分解等が考えられます。
可燃性ガスを排気した後油回転ポンプを用いて再生を行う場合、可燃性ガスと空気が油回転ポンプの排気口又は排気ダクト内で混合し、引火の原因があれば燃焼又は爆発するおそれがあります。しかし、可燃性ガスが充分希薄であり、燃焼範囲(表2参照)以下であれば、燃焼又は爆発の危険はないと考えられます。
可燃性ガスを溜めこんだクライオポンプを再生する場合は酸素を排気する場合と同様に次の点にご注意下さい。
・クライオポンプの再生中、クライオポンプに点火の原因となるもの(例えば、フィラメントタイプの真空計を点灯するなど)がないようにしてください。
以下図2参照下さい。
①不活性ガスを適切な量、導入して再生をおこなってください。
②クライオから排出されるガス配管は金属配管とし接地させ静電気の発生がないようにして下さい。
③クライオポンプから排出されるガスが大気に放出される前に燃焼範囲以下の濃度になるよう排気ダクトに不活性ガス(例.N2ガス)を導入して希釈して下さい。
④排気ダクトへのN2希釈はクライオポンプの再生開始と同時に行い、クライオポンプから排気ダクトにクライオポンプ内のガスが放出された時には排気ダクト内には空気(酸素)が無いようにして下さい。
⑤クライオポンプの安全弁は排気ダクトに接続し、安全弁が吹いた場合でも不活性ガスで希釈されるようにして下さい。
⑥停電後クライオポンプ内や真空槽を真空引きしないで下さい。真空引きする前に、必ず不活性ガスで希釈してから行って下さい。
⑦クライオポンプ内の可燃性ガス量が燃焼範囲以下の濃度にN2パージや、 N2希釈できる範囲で再生周期を決めて再生をおこなってください。
*可燃性ガスを排気するときは、装置メーカー又はアルバック・クライオ(株)にご相談ください。上記項目以外に下記の対策が必要か検討致します。
停電時にもクライオポンプ内、排気ダクト内にN2導入できるように制御回路を組 んで下さい。このためには無停電電源が必要となります。最低必要なのは温度計、 クライオポンプへのN2パージ用バルブとクライオからのガス排出用バルブ、クライオ内の大気圧確認器そして排気ダクトへの希釈用N2導入バルブです。
停電後再生が必要か否かはクライオポンプ2段温度が20Kを超えているかどうかで判断下さい。20Kを超えている場合は再生を実施, 以下の場合はそのまま再起動して下さい。
可燃性ガスを溜めこんだクライオポンプを油回転ポンプで排気するときは、クライオポンプ内の可燃性ガスを少量づつ排気し、さらに排気ダクトには窒素ガスなどの不活性ガスを導入してダクト内の可燃性ガスの濃度が燃焼範囲以下になるようにしてください。(図3:B部より不活性ガス導入)
クライオポンプで大量の酸素を排気し、再生時にクライオポンプ内の酸素濃度が20%以上になる場合、この状態で油回転ポンプで排気すると油回転ポンプの油の燃焼または爆発の危険があります。クライオポンプと油回転ポンプの間の粗引き配管に窒素ガスなどの不活性ガスを導入し,酸素濃度が20%以下になるようにして下さい。 (図3:A部より不活性ガス導入)
クライオポンプで可燃性ガスと空気または酸素を同時に排気する場合、クライオポンプを停止し、可燃性ガスが気体に戻っても濃度が燃焼範囲に入らないように可燃性ガスの排気時間を決めて、再生を行ってください。安全のために排気ダクトに窒素ガスなどの不活性ガスを導入して下さい。
図1:酸素/可燃性ガスの希釈方法(2)
クライオポンプをベストコンディションでお使いいただくために。
クライオポンプは信頼性が高く、長期間の連続運転が可能なように設計、製作されていますが、定期的なメンテナンスが必要です。
日常の点検のポイントをご確認いただくことにより、万が一トラブルを未然に防ぐことができます。
1. | クライオパネルの温度 (クライオパネルの温度をチェック。) | → | 20K未満→正常 20K以上→異常 |
2. | CA熱電対によるシールド温度 (CA熱電対の起電力をチェック。) | → | -5.5mV~-7.0mV→正常 -5.5mV以上→異常 (上記ともに室温20℃の時) |
3. | クライオポンプの音、振動 (聴覚、体感) | → | 周期的、規則的→正常 不規則→異常 |
4. | 運転中のヘリウムガス(供給)圧力 (コンプレッサーユニットの圧力計[SUPPLY]を読んでチェック。) | → | 機種によって異なりますので、「取り扱い説明書」の値で判断して下さい。 |
5. | 積算(時間)計(E.T.M) (コンプレッサーユニットの積算計で運転時間をチェック。) | → | 機種によって異なりますので、「取り扱い説明書」によりアドソーバー(油吸着器)、冷凍機のシール、ベアリングなど交換してください。 |
6. | コンプレッサーユニットの音、振動(聴覚、体感) | → | |
7. | 冷却水の流量、入口温度(水冷の場合) (冷却水の流量、入口温度をチェック。) | → | 取扱説明書のグラフ参照 |
屋内での使用を想定して設計しているため、基本的には屋外では使用できません。
排気速度Sは導入している気体の流量Qを圧力Pで割ることによって求められます。
(S=Q/P)
詳細をまとめたページがございますのでリンク先をご覧ください。
https://showcase.ulvac.co.jp/ja/how-to/selection-guide/vacuum-pump-guide.html
真空ポンプを選定するには、まず必要となる排気速度を見積った上でさらにその用途に適した種類の中からポンプを選ぶことが大切です。各種ポンプの用途、特長、性能を一覧にしました。ご使用目的に合わせてお選び下さい。
圧力単位(Pa)
ドライポンプは、油や液体を真空室内に使用しない真空ポンプのため、クリーンな真空が得られます。大気圧から到達圧力までの広範囲で使用可能です。
油回転真空ポンプは、真空ポンプ油を使うことにより回転部の動きを滑らかにしたり、真空封止して気密性を高めることで高い排気性能を実現します。安価、コンパクト、据え付けが容易、油回転真空ポンプ単体で容易に真空が得られるなど、経済性・操作性に優れたポンプです。
アルバックの油回転真空ポンプは、多種多様な使用用途に応じた幅広いラインナップがあります。
使用目的・用途・アプリケーションからお選び頂けます。
ターボ分子ポンプは、分子流領域において排気速度が一定で、連続したガス排気が可能です。また、再生作業などの保守の必要が無く、水素・ヘリウムに対して高い排気性能を実現します。
一般にポンプとは流体に圧力や速度などを付与しながらこれを輸送する装置をいいます。
真空技術でいうポンプの場合は、これよりももっと広い意味が与えられています。
この一般的なポンプの定義のとおり、真空装置内の気体をより高い圧力の外部へ輸送し、排出するものがあります。たとえば、油回転真空ポンプやメカニカルブースタポンプのような機械式真空ポンプ、あるいは油拡散ポンプやエゼクタポンプのような蒸気噴射式真空ポンプです。ほかに気体を外部に運び出すのではなく、ただ気体分子を捕えてしまうだけのものがありますが、これは気体に対して受動的であり、厳密にはポンプとはいえないかもしれません。
これらにはゲッタ作用を利用した真空ポンプや低温における吸着、凝結作用を利用した真空ポンプなどがあります。
つまり真空ポンプとは、気体を除去する機能をもつ装置であるということができます。作動原理によって真空ポンプを大別すると気体輸送式真空ポンプ、気体溜込式真空ポンプになります。
これらの真空ポンプの種類をまとめると図のようになります。
製品に関するお問合わせについては
こちらのQRコードをご利用ください
排気速度(20℃) | 窒素 | L/s | 1,700 |
水素 | 3,200 | ||
アルゴン | 1,400 | ||
水 | 4,000 | ||
到達圧力 | Pa(Torr) | 10-7(10-9) | |
最大流量 | アルゴン | Pa・L/s(Torr・L/s) | 1.2×103(8.9) |
水素 | 2.4×102(1.8) | ||
排気容量 | アルゴン | Pa・L(Torr・L) | 2.5×108(1.9×106) |
水素 | 1.0×106(7.8×103) | ||
冷却降下時間 (電力サイクル) |
min(Hz) | 125/115(50/60) | |
吸気口フランジ | UVG-200,6BANSI,UFC-253 | ||
コンプレッサユニット | C10T,C10AT | ||
質量 | Kg | 33.2 |
*メンテナンスインターバル:16,000時間
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