真空計の基礎知識
真空計の種類と大気圧について
真空計とは
真空計とは私たちが生活している環境(圧力)より低い圧力を測定する測定器のことです。真空容器内に含まれる原子や分子を対象とする「全圧計測」と含まれる気体と種類の組成を対象とする「分圧計測」があります。
真空計の種類
- 全圧真空計
測定方式による分類 | 真空計名称 | 代表的な真空計(例) |
機械的現象(絶対真空計*) | 液注差真空計 | U字管真空計 |
弾性真空計 | 隔膜真空計(ダイヤフラム真空計) | |
ブルドン管真空計 | ||
圧縮真空計 | マクラウド真空計 | |
圧力天秤 | 重錘型圧力計 | |
気体の輸送現象 | 粘性真空計 | スピニングロータ真空計 |
クリスタル真空計 | ||
熱伝導真空計 | ピラニ真空計 | |
熱電対真空計 | ||
サーミスタ真空計 | ||
クヌーセン真空計 | ||
気体中の電離現象 | 電離真空計 | 放射線真空計 |
冷陰極電離真空計 | ||
熱陰極電離真空計 |
*絶対真空計とは、他の真空計を参照することなく、また気体の種類に無関係に、物理量の測定だけから圧力が求められる真空計のことです。
- 分圧真空計
測定方式による分類 | 真空計名称 | 代表的な真空計(例) |
電界及び磁界を利用 | 質量分析計 | 偏向形(磁場形)質量分析計 |
電界を利用 飛行時間を利用 |
非偏向形(磁場形)質量分析計 |
大気圧とは
私たちの生活している環境(圧力)を一般的に大気圧と言います。
天気図などで「1013hPa(ヘクトパスカル)」と記載があります。これは私たちが生活している環境の圧力を数値化したものです。[hPa](ヘクトパスカル)とはSI単位系における接頭辞のh(ヘクト)と圧力の単位である[Pa](パスカル)の組み合わせです。h(ヘクト)は100倍の意味を持つSI接頭辞なので、私たちの生活してる環境は1013×100=101,300Paということになります。
ちなみに富士山の山頂は630hPa程度、エベレストの山頂は300hPa程度です。国際宇宙ステーション(ISS)は飛行している高度の圧力は0.00001Pa(10-5Pa)です。上空に行くと圧力が下がるのは気体の密度が下がる為です(一般的に空気が薄くなるといいます)。
接頭辞 | 記号 | 意味 |
テラ | T | 1,000,000,000,000 |
ギガ | G | 1,000,000,000 |
メガ | M | 1,000,000 |
キロ | k | 1,000 |
ヘクト | h | 100 |
デカ | da | 10 |
大気圧成分
私たちの周辺にある"空気"にはいろいろな気体で構成されています。代表的な気体と含有率、大きさは次の通りとなります。
分子名 | 分子記号 | 含有率 (約) | 大きさ (直径) |
窒素 | N2 | 78.1% | 0.36 nm |
酸素 | O2 | 20.9% | 0.34 nm |
アルゴン | Ar | 0.9% | 0.36 nm |
二酸化炭素 | CO2 | 0.03% | 0.33 nm |
その他(ネオン、ヘリウム等) | Ne, He等 | 0.07% | - |
圧力の表現方法
真空の場合、圧力を示す単位はSI単位のPa(パスカル)を用い「○.○×10○○Pa」と表現することが多いです。
例えば「1.0×10-3M」と表現された数値を通常の表記にすると「0.001」となり、0の数が多くなり、見づらくなるために、指数表記という「○.○×10●●Pa」という表現を用います。指数表記と通常表記は次の様になります。通常の表記では0がどんどん増えて、見づらくなりますが、指数表記だと見やすい事が分かるかと思います。
※0の数が指数表記の上付きの数になります。
通常表記 | 指数表記 |
100 | 1.0×102 |
10 | 1.0×101 |
1 | 1.0×100 |
0.1 | 1.0×10-1 |
0.01 | 1.0×10-2 |
0.001 | 1.0×10-3 |
0.0001 | 1.0×10-4 |
0.00001 | 1.0×10-5 |
0.000001 | 1.0×10-6 |