Lifestyle
テレビの進化の歴史には真空技術が関わっていたって本当?
私たちのライフスタイルに欠かせないもの
リビングにあるモノと言ったら、皆さんは何が思いつきますか?
ソファー、チェスト、サイドテーブル...、リビングは家の中心です。快適にリラックスできる空間でもあるでしょう。そのリビングには、やはり、テレビがあるのではないでしょうか。
それもそのはず。日本では20年以上も前から「テレビ所有世帯割合」が99%以上を維持しています。実はこの数字、先進国の中でも随一。最近でこそ、アメリカ、フランス、中国でも99%を超えていますが、それぞれ2006年になってやっとはじめて99%を突破しました。
また、発展著しい東南アジアの一国、インドネシアは2012年に77%を超えています。さらに、インドでは2000年には30.6%だった普及率が2018年には78.4%まで急激に増加しています。(*1)
変化する視聴行動と、進化するテレビ
近年ではインターネットを通じた動画配信サービス、Over the Top TV、通称OTTの普及が右肩上がりに上昇し、これまでの私たちの視聴行動が変わり、テレビとの接し方も大きく変わってきました。
配信形態だけではなく、テレビ画面の大きさは110型を超え、画質は8Kと鮮やかに。
そして画面が湾曲するフレキシブルテレビが実現するほど、技術は大きく進歩しています。
テレビの形態がかつてのブラウン管テレビから次世代テレビのように変化していても、テレビの技術発展はいつの時代でも真空技術の発展が関係していることをご存知でしょうか。
テレビの歴史
テレビとはTelevision、すなわちTele(遠くへ)とVision(視界)を組み合わせて、1920年頃にスコットランドで発生した造語といわれています。
いまや一家庭には必ず一台あるテレビですが、いつ発明され、日本の家庭に普及したのは、いつ頃なのでしょうか。
1897年 | ドイツのフェルディナント・ブラウン氏が、ブラウン管(陰極線管)を発明。 |
1926年 | 高柳健次郎氏が世界で初めてブラウン管による電送・受像に成功。 |
1937年 | イギリスが世界初のテレビ放送を開始 |
1939年 | 日本で初の国産受像機が完成 |
1950年 | 日本でテレビの実験放送を開始 |
1956年 | 日本でカラーテレビの実験放送開始 |
1950年代後半 | 電気洗濯機、電気冷蔵庫、白黒テレビが一般家庭に普及し始める |
1960年代半ば | カラーテレビ、クーラー、自動車が一般家庭に普及し始める |
1995年 | 10.4インチの液晶テレビが民生用として発売される |
2000年代 | 液晶テレビの大型化が進む |
2007年 | 有機ELテレビが民生用として発売される |
2010年代 | 有機ELテレビが各社から販売される |
テレビが日本の家庭に普及し始めたのは1950年代後半のようです。70年以上の長きに渡ってリビングで家庭の中心に位置していたのですね。
しかし、技術の進歩によって、かつてはブラウン管テレビだったのが、液晶テレビになり、最近では有機ELテレビが家電量販店で販売されています。
ブラウン管と真空について
ブラウン管は陰極線管(Cathode-Ray Tube、略してCRT)とも言われ、電子ビームを蛍光体に照射すると蛍光体が発光する現象を利用した表示器です。
実は、このブラウン管の中身こそ、真空です。
ブラウン管内に空気が存在すると電子ビームが空気とぶつかって、蛍光体まで届きません。真空にすることによって、電子ビームが蛍光体まで届いて発光することができます。
ブラウン管以外にも蛍光灯や電子レンジのマイクロ波の発生源、冷蔵庫の真空断熱パネル等、実はリビング、キッチンには真空がいたるところに隠れています。
*1: (出典) 経済産業省. 「コンテンツの時代」研究会報告書.
https://www.meti.go.jp/press/2019/04/20190426006/20190426006.html