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ブラウン管では駄目?液晶テレビだから大きく、薄く、鮮やかに
大型化、薄型化にテレビの液晶化は必然だった!?
テレビが発明されて以来、「より大きく、より薄く、より鮮やかに」テレビは進化してきました。
ブラウン管も発明時と比較すると非常に大きくなりましたが、実は、ブラウン管は構造上、薄型化、大画面化には不向きです。
何故、不向きなのかというと、ブラウン管テレビの中では磁場を用いて電子ビームを曲げているので、薄型化するには電子ビームを急激に曲げるための強力な磁場が必要です。
また、大型化するに伴い、奥行きが長くなり、ガラス製のブラウン管が重くなります。
これら磁場と重量化の問題を抜本的に解決したのが液晶テレビです。
液晶テレビの仕組み
液晶テレビは、2枚のガラス板で液晶を挟んでいます。しかも、このガラス板には電気が流れる透明な薄い膜が付いていて、液晶に電気を流すと液晶分子が規則正しく整列します。
逆に、液晶に電気を流さないと液晶は不規則な状態に戻ります。
この時、裏側から光を当ててみると、電気を流さない状態で光は見えませんが、電気を流した状態では光が見えます。
つまり、「電気を流すと光が通過する」、「電気を流さないと光が通過しない」のです。
しかし、このままでは光が透過する白色と、光が透過しない黒色だけの白黒テレビです。
カラーで画面表示するために、液晶テレビでは赤、青、緑のカラーフィルターが加わっています。
それぞれの色に対応した液晶に電気を流すための電気回路もあります。
この電気回路は、電気の量をコントロールできる回路。透過できる光の量をコントロールすることもできます。
そして、背面からバックライトで光を照射すると、色彩豊かなテレビの画面が映る仕組みです。
電気回路の数はテレビの画素数に関係しています。
画素は赤、青、緑に1セットで1画素と数えるので、8Kテレビの場合では3300万個の画素、つまり電気回路は9900万個の計算です。
真空技術と液晶テレビ
ところで、液晶テレビはブラウン管テレビと異なり、どこにも真空が見当たりませんが、真空技術はどのように関わっているのでしょうか。
実は、液晶テレビ本体ではなく、この電気回路を製造する工程で真空技術は重要な役割を担っています。
電気が流れる透明な薄い膜をガラス基板に付ける際や、9900万個の電気回路をガラス基板に作るとき、ガラス基板で液晶をぴったりと挟む際に真空が関係しています。
これらの工程ではどんなに小さな塵や空気が大敵です。塵や空気が入らないように防ぐため、真空環境を保っています。
つまり、液晶テレビが鮮やかな色を発する、最も重要なポイントには真空が不可欠です。