真空ポンプの原理と特徴<種類別>
油回転真空ポンプ
機械的ポンプの王道、油回転真空ポンプとは
油回転真空ポンプは、機械的ポンプのひとつであり、経済性・操作性に優れたポンプです。
1900年代のはじめに発明されて以来、真空を得る多くのシーンで代表的なポンプとして使われており、現在までに、機械工作技術や使用する油の発達によって大きく進歩してきました。
食品、チャッキング、真空炉、リークシステム、含浸装置、レーザ、 コーティング、化学、医療、セントラルバキュームシステム など多くの分野・製造で活躍しています!
油を利用して高いパフォーマンスを実現する油回転真空ポンプの特徴
このポンプは真空ポンプ油を使うことによって、回転部の動きを滑らかにしたり、真空封止して気密性を高めることで高い排気性能を実現しています。 また、大気圧から高真空領域まで有効に作動できるポンプの中では最も効率がよい形式であり、高真空が安定した排気性能が得られる信頼性の高いポンプです。
長所 | 安価、コンパクト、容易な据付、簡単に10pa以下の真空が得られる |
短所 | 真空ポンプオイルの取り扱いが煩雑 |
油によって部品間の気密および無効空間の減少を図る油回転真空ポンプの仕組み
油回転真空ポンプには大きく分けて3つの形式があります。
1. 回転翼型油回転真空ポンプ
回転翼型の油回転真空ポンプは、シリンダーの内側に組み込まれたロータに2枚のベーンが組み付けられています。このベーンがシリンダ内を3つの空間に分割します。分割された空間の気体はロータの回転とともに圧縮されて、周期的に変化しながら、排気弁より大気に排出されます。 オイルはベアリング部の潤滑、冷却、ベーンとシリンダーの気密性を高めるシールの役割をしています。
2. カム型油回転真空ポンプ
円筒形ステータの中心に偏芯ロータが設置され、ロータの一部がステータと接触しながら回転し、吸気側・排気側のシールとして上下に動く翼板(ベーン)が設置されています。ロータが1回転する間に、ステータ・ロータ間の隙間空間を排気することにより、真空排気します。
3. 揺動ピストン型油回転真空ポンプ
ガイド部を摺動するピストンが、偏心ロータの回転により上下首振り運動を行なうことで、ピストン及びシリンダで囲まれた空間の容積を変化させて気体輸送を行います。