真空ポンプの原理と特徴<種類別>
回転翼型ドライ真空ポンプ
回転翼型ドライ真空ポンプとは?
回転翼型ドライ真空ポンプの外観を写真に示します。この形式のポンプは、図に示すようにロータ、シリンダ、ベーンなどからなる機械式真空ポンプです。オイルレスポンプのため、シリンダとロータとの隙間からの空気の逆流はどうしても避けられません。図に示すように多翼ベーンによって逆流を少しでも防ぐような構造になっています。
このポンプは、構造がシンプルなため到達圧力はよくないのですが、低真空領域で大きな排気速度を得ることができ、吸着・搬送機械の真空源として広く利用されています。
なお、この真空ポンプはベーンが常にロータの構内およびシリンダとしゅう動しながら動くため、しゅう動による発熱が多くなり、冷却に注意を払わなければなりません。 ベーンには、カーボンを母体とした材質が使用され、このベーンがしゅう動しながら動くため、カーボンが摩耗して粉状で出てくることは避けられません。このカーボン粉末の発生は極微量ですが、しゅう動面に薄膜状に付着し、減摩剤としての役割を果たしています。
また、このカーボン粉末は排気する気体の湿度が高かったり、または水分によって粘度の高い塊になり、回転部の隙間に詰まったりしてトラブルを起こすことがあります。このためこのポンプは水分、腐食性ガスの排気には適しません。
特徴
オイルレスポンプのため、シリンダとロータとの隙間からの空気の逆流はどうしても避けられません。多翼ベーンによって逆流を少しでも防ぐような構造になっています。構造がシンプルで、低真空領域で大きな排気速度を得ることができ、吸着・搬送機械の真空源として広く利用されています。
長所 | 低真空領域で大きな排気速度が得られる。 |
短所 | ベーンの摩耗粉が発生する。音が大きく発熱が多い。 |
主な利用分野
この回転翼型ドライ真空ポンプは、電子電機業界、食品機械業界、包装機械業界、印刷機器業界、歯科業界、産業機械業界、半導体業界の真空源(吸着・吸引)として利用されています。
構造と仕組み
ロータが回転すると、ベーンは遠心力により外側にスライドし、シリンダと接触しながら回転します。シリンダとロータとベーンに囲まれた空間は、ローターが回転するに従い、吸気口から吸引されたガスが圧縮され、排気口から吐出されます。