Technology
実験動画 | 液体が一瞬で容器に充填される原理
真空は、空気中の分子の数を減らすことで生まれる空気の状態です。真空状態だからこそ可能になるテクノロジーもたくさんありますが、真空状態を作り出す過程、また真空状態から戻す過程を利用している技術もあるのをご存知でしょうか。
たとえば、お弁当やお寿司でよく見かける、赤いフタが特徴のタレ瓶やしょう油入れ。
あの小さな容器に液体を充填する時に、真空と気圧の仕組みを利用しています。
その原理が、この動画。真空デシケーターの中で何が起きているのか、詳しくご説明します。
1. 空気がぬけると気圧が下がる。気圧が下がると...?
図に散在している赤い点は空気の粒、つまり気体分子を表しています。
気体分子がたくさんあると気圧は高く、少ないと気圧が低い状態です。
真空ポンプと繋がった真空デシケーターの中には、水を張った器、その中にコップが伏せて置かれています。
この状態では、デシケーターの中もコップの中も同じ気圧です。
さて、ここで真空デシケーターの中の空気を抜くと、気体分子が減って、デシケーターの中の気圧が下がります。
気体は、気圧の高いところから低いところへ移動する性質があるので、コップの中の空気も、気圧が高いままではいられません。
コップの中の空気は、すき間から水を通って外に逃げ出すので、ぶくぶくと気泡が現れます。そしてコップの中の気圧も下がります。
ちなみに、真空状態になると低い温度でも水が沸騰するのは有名ですが、これは沸騰とは異なります。
2. 抜いた空気を戻すと...?
真空デシケーターの中に空気をもどすと、気体分子が増えて、真空デシケーターの中の気圧が高くなります。
この時、コップの中の気圧は、まだ低いままです。
真空デシケーターの中の空気は、気圧が高いので、気圧が低いコップの中に向かって移動しようとして水面を押します。
すると、コップの中は気圧が低いので、水を一緒に吸い上げてしまいます。だから、水がコップの中に入っていくのです。
この原理を利用しているのが、タレ瓶としょう油入れです。あれほど小さな容器にどのように液体を入れていたか不思議ではありませんでしたか?
この原理を用いると、一度にたくさんの容器に、一瞬でタレやしょう油を入れることができます。
3. 実験で使用した機器
Technology
-
アルバックのヘリウムリークテスト装置
-
車載用二次電池の「ヘリウム漏れ試験」導入による効果
-
現場の温室効果ガス排出量を測定するには?カーボンニュートラル実現に向けて「いまを把握する」アルバックの計測技術
-
世界的なヘリウム供給不足!漏れ試験はどうなる? いま注目される「水素漏れ試験」を検討する
-
スマートフォン対応ピラニ真空計SWU10-U
2020年度一般社団法人日本真空工業会表彰 イノベーション賞
(『真空ジャーナル』2022年1月 179号掲載 ) -
独自の空気造形技術に"真空の知恵"をプラスして逆境を切り拓く!!「エアー式簡易陰圧室」
(『真空ジャーナル』2021年7月 177号掲載 ) -
実験動画 | 液体が一瞬で容器に充填される原理
-
ありそうでなかった"真空ポンプメーカーの真空デシケーター"開発ストーリー
-
真空装置に必要な漏れ試験技術
-
液体窒素ジェネレーター「EMP シリーズ」の紹介と新製品「UMP-40W」について
-
高速排気と低消費電力を両立したドライ真空ポンプ「LS シリーズ」
-
SWU10-U 特集記事(真空ジャーナル2020年1月 171号掲載)
-
高速分光エリプソメータ UNECSシリーズの測定事例
-
ガス分析計のアプリケーション
-
代替フロン系コールドトラップに替わるヘリウム冷凍機を用いた極低温トラップを発売
-
急速低温再生・・・再生時間の短縮
-
スーパートラップの応用と効果的な使用例
-
液体窒素ジェネレータはどこで使用されているの?
-
真空計 ST2 技術レポート
-
液体窒素ジェネレータ - 技術レポート
-
水晶発振式成膜コントローラ・有機材料向け4MHz水晶板の開発
-
HELIOT900 - 技術レポート
-
4K 冷凍機を使った無冷媒希釈冷凍機の共同技術