ヘリウムリークディテクタの原理と構造|リークディテクタの基礎知識|HOW TO|ULVAC SHOWCASE

リークディテクタの基礎知識

(1)ヘリウムガス特性

特性 利点
1 大気中の含有量が少ない(5ppm) バックグラウンドが小さい
2 質量数4のイオンとなる 質量分析で他ガスとの識別が容易
3 分子直径が小さい 小さな孔を通り易い
4 毒性なし、引火性なし、不活性 様々な現場、環境、製品に対し安全に使用できる
5 吸着エネルギーが小さい 一旦進入しても排気し易い
6 非フロン系ガス 地球環境へのダメージがない

(2)機器構造

img-heliot-11.png

ANALYZER:分析管
TMP:主排気ポンプ
FV:フォアラインバルブ
FP:補助兼、粗引きポンプ
TV1:微小リーク用テストバルブ
TV2:小リーク用テストバルブ
TV3:大リーク用テストバルブ
TEST PORT:Work接続口
PG:ピラニ真空計
CAL:校正リーク
CLV:校正リーク、ベントバルブ
VV:ベントバルブ
VENT PORT:大気圧戻し口

(3)分析管

磁場偏向型質量分析

img-heliot-23.png



① イオン生成(イオンソース)
・分析管に到達した気体分子がフィラメントの熱電子により+電荷のイオンに変換
・加速電圧により、一方向に加速移動
② イオン選別
1. +の電荷を持ったイオンが磁場を通過する事で軌道が曲がる『フレミングの左手の法則』現象
2. この時点で気体毎の質量により軌道が分かれる
・He(質量数4)が中心軌道に調整
・質量数3は自然大気中に極めて少ない、質量数5は存在しないので、質量数4の識別が容易

③ イオン収集(イオンコレクタ)
1. +の電荷を持ったHeイオンのみ電極板に到達
2. Heイオンの量に応じた微弱電流が流れる

img-yajirushi-down-01.pngのサムネイル画像

真空中のHe分圧レベルに応じてイオンコレクタの電流値が変動する

(4)主排気真空ポンプ

複合分子ポンプの採用と逆拡散現象による効果
分析管の圧力は維持しながら、テストポートをより高い圧力で接続することができる。

img-heliot-15.png

※逆拡散現象:Heなど排気し難い小さな気体分子の一部が分子ポンプを介して分析管まで到達してしまう現象

(5)校正リーク

分析管のHe分圧レベルを漏れ量単位に変換する為の「漏れ基準器」

メンブレン型 真空法用/E-7, E-8, E-9, E-10 Pa・m3/sec台
Heを内蔵。硝子を透過する現象を利用。温度係数、経年減衰係数を持つ。

img-heliot-16.png

チャネル型 主にスニッファー用(真空法も可)/E-4, E-5, E-6 Pa・m3/sec台
Heを外部より供給。真空法ではHeを大気圧(差圧0.1MPa)で使用。比較的大きな漏れに適している構造。

img-heliot-17.png

(6)感度校正

機器(LD)が検出可能な最小電流値が示す、漏れ量のことを感度といい、数値が小さい程、感度が良い。校正リークの定測により、感度校正を行う。

img-heliot-18.png

(7)最小可検リーク量

標準空気リーク量で表される最小のリークで、リークディテクターで明確に検出できるもの。

(8)基本動作(真空法:Auto Flow)

img-heliot-20-1.png

(9)基本動作(スニッファー法)

Work内部にHeを充填加圧して、外部(大気中)に漏れ出てくるHeを検知する方法。

img-heliot-21.png

テストポートにスニッファーユニットを取り付けて使用します。スニッファーユニットによりLDテストポートは、TV2で連続運転可能な圧力に維持されています。
プローブ先端のオリフィスで圧力制御する一般的なタイプの他に、アルバックでは吸引用ポンプを搭載したタイプもあります。

img-heliot-22.png

リークディテクタの基礎知識

HOW TO

このサイトでは、お客様の利便性や利用状況の把握などのためにCookieを使用してアクセスデータを取得・利用しています。Cookieの使用に同意する場合は、
「同意しました」をクリックしてください。「個人情報保護方針」「Cookie Policy」をご確認ください。

同意しました