ヘリウム漏れ試験方法は「JIS-Z2331」により、代表的な手法が規定されています。
(1)真空吹付け法(スプレー法)
・試験体内を真空排気し、吹付けプローブを用いて試験体外側にヘリウムガスを吹付け、試験体内に漏れてきたヘリウムガスを検出する方法。
・微小漏れ箇所の検出に最適であり、比較的小さな漏れの検出に適用するが、試験体全体の漏れ量の定量化が必要な場合は、真空外覆法の採用が望ましい。
(2)真空外覆法(真空フード法)
・試験体内部を真空に排気し、試験体外側をフードで覆い、フード内にヘリウムガスを満たし、試験体内に漏れてきたヘリウムガスを検出する方法。
・真空排気可能な試験体全体のリークを見落としなく検出し、漏れ量の定量化ができるが、漏れ位置は特定できないので、漏れ位置の特定が必要な場合は、真空吹付け法を用いる。
(3) 吸込み法(スニッファー法)
・試験体内部をヘリウムガスで加圧し、漏れ箇所から外部に漏れるヘリウムガスを、リークディテクタに接続した吸込みプローブで吸引し、漏れを検出する方法。
・次に示すような漏れ位置を特定するのに有効な方法である。
・大気圧より高い圧力で漏れ検査を実施する場合
・形状が複雑で試験箇所を被覆できない場合
・加圧積分法で大きな漏れがある場合で、その漏れ位置を特定する場合
(4)加圧積分法
・試験体をヘリウムガスで加圧し、漏れ箇所から外部に漏れるヘリウムガスを、試験部を覆ったフード(被覆材料)で捕集し、これをリークディテクタに接続したスニッファープローブで吸引し検出する方法。
・漏れたヘリウムガスを一定時間ため込み、濃度を上げる方法のため、吸込み法に比べ小さな漏れの検出に有効である。また、大気圧より高い圧力で高精度で漏れ検査を実施する場合に適している。
(5)吸盤法(サクションカップ法)
・試験体を部分的に真空にして行う方法。
・大型真空容器、その他圧力容器などで、製作過程や製品の状態によって全体を真空や加圧することができない場合に適用できる。
・適用例
・大型の真空容器の製作過程での行程中確認検査
・局部的な漏れ有無の確認検査
(6)真空容器法(ベルジャー法)
・試験体を真空容器(ベルジャー)の中に入れ、その外周を真空に排気し、検査品の内部を大気又はそれ以上にヘリウムガスで加圧し、漏れを検出する方法。
・真空法と同様な高い検出感度を得る事が出来るので、加圧法におけるスニッファー法及び加圧積分法と比較して、高い検出感度を要求する場合に適用する。ただし、漏れ位置を知ることができないため、漏れ位置を知る事が必要な場合はその他の検査法を検討しておく必要がある。
(7)浸せき法(ボンビング法)
・試験体をボンビング(加圧)タンク内に入れてヘリウムガスで一定時間加圧放置した後、それを取り出し、真空チャンバー内で試験体外側を真空排気する。もし、試験体にリークがあればヘリウムガスの加圧時に幾らかのヘリウムガスが試験体の中に入り、これが真空中に出て来る。これをリークディテクタで検出し、漏れが見つける方法。
・内部空間が真空又は空気若しくはガスで充填された密閉容器(例えば、パッケージIC、水晶振動子など)の封止効果又は気密性を判定する方法として適用する。
(8)微圧法(※)
・圧力差に弱い製品に対し、ULVACではプリケーションの開発に取り組み、各方面で実績を積んでいます。ヘリウムにより高精度かつ高速な検査を実施する事が可能となっています。
吸引ポンプを使用したスニッファー法に近い排気系から構成され、LD接続圧力以上の高い圧力条件でのテストを可能にしました。圧力は任意で設定が可能です。
〇密閉品への応用例:薬品包装、医療用包装など
〇吹付け法への応用例:圧力差に弱い容器など
(※)微圧法はULVAC の造語です
テスト方法の決め方
(※)微圧法(ULVACの造語):圧力差に弱いWork向けのULVACアプリケーション